◆パナマ文書による暴露が世界を揺るがせています。◆「タックスヘイブン」のパナマは高額納税者のタンス預金なのか。◆違法な脱税なのか、法に適った節税なのか、それともグレーな租税回避(タックスヘイブン)なのか。◆文書にリストアップされた人や企業は、落ち着いて眠れない日々を過ごしていると想像されます。

◆ところで、ご存知でしょうか。◆すでに日本には2014年導入された「国外財産調書」の制度があります。◆キャッシュや不動産など5,000万円超の海外財産は税務署へ申告義務があるという税制です。◆現在、全8,000件といわれていますがいかにも少なく、実態はもうひと桁多いのではないかといわれます。

◆この一方で、税逃れを防ぐ国際ルールとして、OECD(経済協力開発機構)は企業の「過度の節税」の国際的対策を行動計画としてまとめて、去年(2015年11月)のG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行のサミットで報告しました。◆4年ほど前からグーグル、スターバックス、アマゾンなど多国籍企業が、税制の隙間や抜け穴を利用して、過度に税負担を軽くしている問題が表面化し放置できなくなったためです。◆日本の企業では年間収入約1,000億円以上の、約1,000社が対象とみられます。

◆このような、パナマ文書による暴露、国外財産調書の制度、そしてOECDによる「租税回避」を防ぐ取り組みは、行き過ぎた節税防止という底流でつながっていると思います。

◆タックスヘイブンをどう解決するかの方策のひとつとして、マイナンバーの使用が海外での口座開設に際して計画されています。◆海外口座の残高・明細について、国と国の間で自動的に情報共有できる仕組みが2年先の2018年にできます。◆納税者番号(日本ではマイナンバー)を利用して情報交換する海外口座の多国間情報自動交換システムです。

◆そしてG20参加46ヵ国に入っていなかったパナマなど4カ国もG20に加わってタックスヘイブン包囲網が出来つつあります。◆こうしてみると、「パナマ文書からマイナンバー制度の欺瞞が明らかになった」と考えるのは早計であり、パナマ文書は今後長期的にはアクセルにこそなれ、ブレーキにはならないと考える方が妥当といえます。【北嶋勝】

panama01